レーザー治療

眼底出血(糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症)に対するレーザー治療(光凝固術)について

眼底出血の状態

網膜静脈分枝閉塞症

網膜中心静脈閉塞症

増殖糖尿病網膜症

糖尿病や高血圧、高脂血症 等に伴う網膜動脈硬化症が進行した場合には、眼底出血が生じる可能性が高まります。眼底出血により、血液の流れない部分を放置しておくと、増殖性変化と呼ばれる、新生血管(もともと存在してなかった新しい血管)が眼内に生えてきたり、増殖膜が眼底に生じて、最終的にはより重症の出血(硝子体出血など)や網膜剥離および重症の緑内障(血管新生緑内障)を生じるようになり、失明もしくは眼球を温存できない可能性が高まります。
レーザー治療は血管の破綻に伴い、虚血となった網膜部分にレーザー光線を当てて固めていく治療です。広範囲に眼底出血が生じている場合には、通常1眼当たりに3-4回に分けて治療を行います。

 

レーザーにより、視力を改善させることはできませんが、病状の悪化、失明を防ぐ治療と考えていただき、それも治療が遅れると、病気の勢いを止めらなくなり、硝子体手術などより大変な手術が必要となるので、適切な時期での治療が大切です。
また、レーザー治療自体が視力低下を生じる原因になることもしばしばあります。
それは、レーザー凝固をした網膜部分の働きが弱り、視野が狭く(暗く)なったり、黄斑浮腫(網膜真ん中の視力にとって最も大切な部分にむくみが生じること)が悪化することがあるからですが、その場合には、視力回復のために、ステロイド注射もしくは抗VEGF剤の硝子体注射を行います。
しかしながら、繰り返しますが、レーザー治療は進行した病状を安定させるには非常に大切であり、適切な時期に十分行わないと、後々に病状の進行のため、複数回の硝子体手術が必要になり、最悪は中途失明をまぬがれ得ない可能性が高くなります。
レーザー治療が十分にしてあれば、どうしても進行してしまい硝子体手術が必要になったとしても、そこそこの視力を生涯にわたって残せる可能性は格段に上がります。
逆に言えば、適切な時期に十分なレーザー治療を行っていないと、しばらくは困らないかもしれませんが、増殖性変化が生じたときに一気に見えなくなり、そこから急いで治療を始めても、手遅れになる可能性が高まります。現に、それにより多くの方が失明もしくは最悪は眼球形態を失っています。(糖尿病網膜症は緑内障に次いで中途失明原因の2位ですが、壮年期に限れば失明原因の1位です。)
5年後 10年後の視力を守るために、適切な時期に、必要十分量のレーザー治療を行うことが大切です。

費用

汎光凝固術(網膜全体に複数回にわたって、レーザー治療する場合):
片眼 約5万円(3割負担の方)

局所光凝固術(網膜の一部のみに、1-2回レーザー治療をする場合) :
片眼 約3万円(3割負担の方)

後発白内障のYAGレーザー治療

過去に白内障手術を受けられた方は、通常もともとの水晶体の袋(水晶体嚢)の中に、眼内レンズを取り付けています。水晶体嚢は、当初透明であったとしても、徐々に混濁が生じ、袋に沿ってもしくは袋の内部に広がってくることがあります。
その状態を、後発白内障と呼びます。症状は、白内障と同様、かすんで見にくくなり、視力が低下します。
治療は、同じ白内障手術をもう一度受ける必要はなく、通常YAGレーザーと呼ばれるレーザーを用いて、水晶体嚢に穴をあけることで、視力回復が得られます。

費用

片眼 5000円程度(3割自己負担の方)

TOP